HOME > 2014年5月号 事業承継のためのM&A指南(株式会社フィナンシャル・インスティチュート 今野洋之氏)
中小企業の経営者が事業承継を考えた時、「後継者不在」で頭を悩ませるケースは多い。その一方で、後継者はいても、事業承継時の「相続税負担が重すぎる」等の承継コストが原因で、事業承継を諦めたり、後に承継コストが原因で、資金繰りが悪化するといった問題も出てきている。これに対して「M&Aが有効な手段」と話すのは、「承継・再生」のコンサル会社としては国内最大規模の㈱フィナンシャル・インスティチュートの今野洋之氏だ。
今野 洋之 こんの・ひろゆき
1998年にさくら銀行入行、中小企業法人を担当。その後中小企業での経理・財務責任者中に始めてM&Aを実行。フリーでのコンサル活動を経て、2008年に株式会社フィナンシャル・インスティチュートに入社。現在事業戦略部とコンサルタントを兼務。全国での中小企業経営相談対応件数900件以上、中小企業の実態を知る立場として経営・事業再生コンサルとして活動中。M&A取り扱い歴多数。読者4万人以上のメルマガ「あなたの会社を2年以内に復活させる法」執筆を代表の川北より引継ぎ。日本経済新聞や毎日新聞、東京経済、各業界紙での取材・執筆歴多数、商工会議所セミナー等の講師は年間20件以上。
──まず、問題の「承継コスト」とは。
今野 資本金を後継者に移す費用、相続税、リタイアする経営者の退職金などです。企業はこれらのコストの支払いを銀行からの借入などで賄おうとしがちですが、銀行にとっては運転資金と異なり、将来の利益からでしか返済できない融資となりますので、「優良先」だった企業が承継を行った途端に不良債権化するといったことが起こります。
──退職金などの承継コストを用意できていない中小企業は多いと聞きます。
今野 簡単に言えば、創業者が優秀なほど相続コストは増えます。資本金が簿価で1000万円でも5000万円の評価が付くことがあり、後継者はそれを買わなければいけませんし、贈与税も掛かります。つまり、財務上優良な会社も事業承継では、そのコストで苦労することになるのです。
──そこでM&Aが有効な手段になる?
今野 再生途上の会社、債務超過の会社をM&Aすることで、会社の純資産を小さくして、承継コストを下げることができます。承継コストで悩んでいる企業にとって、再生企業は「宝の山」とも言える訳です。また別の見方をすれば、「再生企業でも立派な売手として、事業や生活を保護できる」ということです。
──そのようなM&Aで気をつけることは?
今野 M&Aでは、人の問題(待遇)も付いてくるなど、リスクもありますので、どういった条件の企業ならば買うべきかを検討しておくことです。また、そういった企業は、買いたいと思った時に買えるものではありませんから、事業承継問題に直面する前からアンテナを広げておくことが必要です。まずは、我々のようなコンサルタントにM&Aについて話を聞いてみることをお勧めします。
経営者のための誌上セミナー「増税と経営・承継」
株式会社フィナンシャル・インスティチュート
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