前号(「japan」─こだわりの漆器を日常で使う)で、漆器は丈夫な器であり、もし傷をつけたり、壊れるようなことがあっても、修理や補修が可能で、こだわった高級なものでも日頃から安全に使え、日本を代表する文化をいつも身近に感じられるということを紹介した。今回は、使うほどに美しくなる漆器の魅力、「漆器の用の美」をご紹介する。
「漆は変色する塗料であり、それは美しく変わっていく」と話すのは、漆器研究家であり、京焼・漆器を扱う「あらい」の荒井俊勝社長だ。
漆器は、出来上がった直後と数年後でも、色合いが変わり、年月を経て、使われるほどに艶やかになり、透明感を増していく。これは漆の色を出すための顔料と漆自体の経年変化によるもので、漆器愛好家は、この変化を「透けてきた」と表現する。
もちろんこの変化は、負の要素を帯びたものではない。本漆の黒であれば、段々と艶やかになり、何十年、何百年と経つと、最終的には漆の樹液の色に近くなる。朱色のものなら、濃い朱色が明るく艶やかな朱に変わっていく。つまり、漆器は日常で使うことで、漆独自の風合いが増す、「使いながら育てる」という喜びを感じられる工芸品なのだ。
漆器のなかには、「根来塗」のように、200年、300年と朝昼晩に使われ、表面の朱漆が摩滅して、下地に塗られた黒漆が所々露出した姿が美術的に評価されるものもある。自分の代だけではなく、子孫が使い続けることで、いつかその美しさを見ることができるというものだが、これは漆器の丈夫さがあってこそだ。ちなみに、本物の根来塗の器でも2万円を出せば良いものが買える。これを「高い」とは誰も言わないだろう。
荒井さんは、「普段使いなら、シンプルで漆の美しさを目で見て、手で触って感じられるものを選んでください。漆器は使っていただければ、その良さを必ず実感できます。特に漆器より陶磁器に馴染みが深い福岡の人に漆器の良さを知ってほしい」と話す。
暮らしの中で、japan(漆器)にこだわる…いいかもしれない。
【高台寺蒔絵入隅酒器&入隅三段重箱】高台寺蒔絵とは高台寺の霊屋内部の装飾であり、豊臣秀吉が愛用した調度品に施された蒔絵で、桃山時代を代表する加飾の一つ。自由で斬新な発想による多彩かつ華麗な表現方法が目を引く。その時代は武士や大名が愛用してきたが、今の時代は自由な発想で「ケ」の食卓を漆の特性(抗菌作用)を生かして、ちらし寿司、野菜サラダ、お菓子入れ等、多彩かつ華麗な重ねの器として酒器共々、楽しむのもいい。
根来塗による湯桶。使い込まれることで赤い朱漆が徐々に、または不ぞろいに摺り減り、年月による自然な効果が生み出されることでその価値が高まってくる。(バーミングハム美術館所蔵)
■取材協力/漆ARTあらい
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