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HOME > 2017年7月号 エリア特集「今川」

人気の居住エリア大濠・唐人町に隣接する福岡市中央区今川は、交通アクセスが良好で住環境の整った閑静な住宅街だ。地名の由来は、かつて草香江の辺りで博多湾の入江に通じていた樋井川の流れを、福岡城築城の際に西に導いて現在の流れにしたことから「今の川」=「今川」と呼ぶようになったという。今回は今川の明治通り沿いにある平野神社に祀られる幕末における福岡藩の勤王志士・平野國臣を紹介する。

今川一丁目に鎮座する平野神社の御祭神は、幕末における福岡藩の勤王志士・平野國臣だ。境内には誕生の地碑、追慕碑、歌碑などがあり、毎年3月の最終土曜日には鳥飼八幡宮の宮司が祭主を務め「平野國臣生誕祭」が執り行われる。西公園に平野國臣の銅像があるが、5年に1度は場所を銅像前に移し、生誕祭が盛大に執り行われている。

 

明治維新前夜、福岡藩で最初に尊王討幕を唱えた平野國臣は、維新に乗り遅れた感のある福岡藩にとっては、数少ない勤王の志士だった。

 

1828(文政11)年、筑前黒田家に仕える足軽の次男としてこの地に生まれ、漢学や国学を学び、また、相当な腕白でもあったという國臣。18歳で仕官し、普請方などで江戸・長崎に勤務したが、その間に多くの薩摩人と交流を図り、尊王主義に傾注している。そして、30歳で妻と三人の子を残して別離、役所も退職し、脱藩して上京する。

 

平野國臣が歴史の表舞台に登場するのは、1858(安政5)年の「安政の大獄」で幕府に追われる勤王僧・月照の警護役で筑前から薩摩まで付き添った時だ。正式な関所手形もなく、追っ手のかかる月照と國臣は山伏に扮装して、命懸けで薩摩を目指した。一方、月照と知己の仲だった西郷隆盛は、藩政府による月照保護のための根回しに先行していたが、幕府のとがめを恐れた藩政府の態度は冷たいもので、薩摩に入った月照らを藩外に追放するよう命じた。

 

藩士として藩の命令に背くわけにいかない西郷は、月照と國臣を引き連れ、日向に向けて鹿児島錦江湾に船を漕ぎ出すが、西郷と月照は明け方近く、突如寒中の海に抱き合って身を投げ、心中をはかっている。國臣の熱心な捜索と看病で、西郷はすんでのところで息を吹き返したが、月照は絶命している。

 

その後、國臣は各地を転々とするが、武士だけでなく、豪商、神官、医師、庄屋、豪農などがお尋ね者である國臣を匿っている。この時再度薩摩入りし、有名な「我胸の燃ゆる思にくらぶれば煙はうすし桜島山」という歌を残している。

 

1863(文久3)年、脱藩の身でありながら福岡藩11代藩主・黒田長溥に尊王を諫言し、唐人町の浜側にあった枡木屋の獄に繋がれる。そこで筆や硯が許されなかったため、こよりで文字をつくり紙に米で貼り付けた「こより文字」による「平野國臣紙撚文書」をつくっている。翌年には志士たちへの風向きが変わってきたこともあり、國臣の功績を称える動きがあり、恩赦で出獄している。

 

しかし、但馬地方(現在の兵庫県)の勤王の農兵を組織して挙兵した生野の変に参加し、再び京都六角牢に投獄される。そして1864(文久4)年7月に起こった「禁門の変」で京都には各地で火災が発生し、六角獄の近くまで延焼したため、囚人の脱走を恐れた幕府役人に処断され斬首されている。國臣37歳、頭髪は真っ白で翁のようであったという。明治維新の4年前のことだ。

 

1891(明治24)年には、明治政府より維新に貢献したとして、贈正四位が授与されている。

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