ひとびとが集い憩う場へ

福岡市中央区西中洲、薬院新川と那珂川に挟まれた中州にある「水上公園」が現在、リニューアル工事をしている。

福岡市の天神地区を中心に新たな空間と雇用をつくり出すための「天神ビッグバン」の主要な事業として、西日本鉄道（以下、西鉄）がＰＰＰ手法を活用し、施設の設置許可を受け、土地の使用料を支払いながら施設を運営するというもので、総事業費は３億６０００万円。新たな休憩施設として２０１６年７月15日の供用開始を予定している。

水上公園は、昭和天皇のご成婚記念として大正13（１９２４）年につくられたもので、戦後しばらくは音楽堂があり、名称も「記念公園」と呼ばれていたが、１９８３年の再整備を機に「水上公園」という現在の名称に改められたという。

天神と博多・中洲を結ぶ公園であり、緑が多い落ち着いた雰囲気で、夜には中洲のネオンが川面に映る独特の雰囲気を楽しめる夜景のビュースポットだったが、近頃では利用者はあまり多くない状況が続いていた。

今回の再整備では、「SAILING PARK〜世界へ、市民とともに帆をあげて」というテーマのもと、イベントスペースやステージを設け、さまざまなイベントを想定し、ひとびとが集い憩う場へとリニューアルされる予定で、川に三角に飛び出した水上公園独特の形状を活かしたガラス張り２階建ての休憩施設が建設中だ。※２０１６年５月現在。

魅力的なテナントを誘致

休憩施設の１階部分には、オーストラリア発のカジュアルダイニング「bills（ビルズ）」が西日本初出店する。「世界一の朝食」と称された、スクランブルエッグやリコッタチーズパンケーキなどが有名な大人気レストランだ。２階にはミシュランガイド福岡・佐賀 ２０１４特別版に掲載された福岡市の須崎にある香港料理をベースとした人気店「星期菜 NOODLE&CHINOIS」が出店。魅力的なテナントを誘致できたことで、水上公園が水辺の景色を眺めながら食事を楽しめて、のんびり過ごすことができる福岡の新しいランドマークへと生まれ変わることが期待される。

天神ビッグバンは、今後10年間をかけて天神地区を変革していくプロジェクトであり、それはまだ動き出したばかり。そして、天神を東西に貫く「明治通り」周辺の再開発を主導し、天神のまちづくりを牽引してきた西鉄がてがける天神の東の玄関口である水上公園の再整備は、これを皮切りに天神地区がこれからどう変わっていくのかを示すものになるのかもしれない。