4月中旬、やっと訪れた春の陽気を感じながら福岡市中央区六本松にある福岡縣護国神社へ向かった。ようやく街が動き出した週末の午前中、辺りもまだ人影はまばらだ。
表参道の大鳥居の前で一旦、立ち止まる。堂々とそびえ立つ大鳥居と参道を覆うように生い茂る鎮守の杜の存在感にしばし圧倒されたのだ。鳥居をくぐり、参道へ足を踏み入れると、少し冷たい空気が流れ、何となく身が引き締められる思いがした。
広大な境内は掃き清められ、人の足跡もまだなく、特別な空間であることを否が応でも意識させられた。
拝殿へ進み、賽銭を投げ入れ、国家安寧を祈った。福岡都心部でありながら、喧噪とはかけ離れた、静謐なひとときがそこにあった。
福岡縣護国神社は、明治維新から太平洋戦争までの国難に殉じた福岡県関係の護国の英霊約13万柱を祀る神社だ。明治元年に福岡藩主・黒田長知が、戊辰戦争に殉じた藩士を祀るため那珂郡堅粕村(妙見招魂社)と馬出村(馬出招魂社)に招魂社を創建したのに始まり、明治39年にその2つの招魂社を合祀して妙見馬出招魂社とした。昭和13年には福岡招魂社と改称、昭和14年に招魂社の制度改正により福岡護国神社と改称された。
現在地の福岡城址南側の練兵場跡に遷座したのは昭和18年。福岡県内にあった他の4つの護国神社を統合して福岡縣護国神社に改称、内務大臣指定護国神社となった。
今回、2万坪余りの広大な境内の荘厳な雰囲気を独り占めしたような感覚を味わったが、春季大祭(5月3・4日)、秋季大祭(10月)には参拝者が多く、特に春は博多松ばやし、博多どんたくの参拝で賑い、お盆の「みたままつり」(8月13日~16日)では、献灯ぼんぼりが1万数千灯り、境内は不夜城と化す。また最近人気なのは、参道で開かれる蚤の市だ。恒例のイベントになっていて、次回は5月18・19日(土・日)に開催される。
境内の中で静かに自分を省みるのもいいが、賑わいのある護国神社にも、また訪れてみたい。
境内を囲む木々とともに、もうひとつのシンボルである大鳥居。各神社でよく「大鳥居」という言葉が用いられるが、福岡縣護国神社の大鳥居は、高さ13メートル、柱の直径約160センチと日本屈指の大きさを誇る木製の鳥居だ。福岡縣護国神社が現在地に遷座した昭和18年、当時日本領だった台湾・阿里山の檜でつくられている。台湾から船で運搬された檜の原木は、博多港到着後には大き過ぎて車での運搬ができず、六本松までは周辺の国民学校児童によって綱引きとコロ方式で運ばれた。そうしてやっと運んだ大檜は、御遷座祭に間に合わせるため、大鳥居の柱は原木のまま建立されることになったというが、今ではそれが趣ある佇まいとなっている。
左写真:拝殿に向かって右側にある石造の鳥居は、創建当初の招魂社時代のものだ。扁額に「招魂社」、柱には「明治三年」と刻まれている。この招魂社鳥居がもともと妙見招魂社のものか、馬出招魂社のものかは明確ではないが、明治3年から約140年間に渡り、福岡の幕末維新期以降に国家のために命を落とした約13万柱の御魂を見守り続けている。
右写真:週末の午前中ということもあり、境内には子供連れの家族が一組いるだけだった。芝生では鳩の群が何に構うこともなく、思うままに過ごしていた。
福岡懸護国神社
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福岡市中央区六本松といえば、都心に近く交通利便性の高い地区というイメージがある。
六本松は周辺に、大濠公園や舞鶴公園、南公園といった大規模公園があり、西側には樋井川が流れ、福岡市の「中央緑地帯」の中に位置する自然豊かなところだ。また、美術館、能楽堂、武道館、動植物園、NHK、護国神社といった文化施設、大濠中高校、筑紫女学園、中村学園など多くの教育施設が立地していることから、文化教育環境が豊かな地区でもある。
そんな六本松のなかでも今、注目されているのが、九州大学六本松キャンパス跡地を中心とした六本松南エリアだ。
都心にごく近い場所、しかも地下鉄「六本松」駅に直結する約6.5ヘクタールというまとまった土地の再開発には大きな期待が寄せられている。
この土地を所有する独立法人都市再生機構が、平成21年3月に策定した「九州大学六本松キャンパス跡地まちづくりコンセプト」では、「人がいきいきと交流し、理性を育む、四季を感じる、賑わいと良心がふれあう街(『青陵』の街)」を将来像としている。
この再開発では、全国でも例が少ない司法と一体となったまちづくりが推進されている。
現段階においては、北側を商業・住居などのエリアに、南側を裁判所、検察庁等の司法機関エリアに、またそれらを繋ぐスペースを公園や散策路にといった骨子で計画が進行中で、さらなる街の魅力向上と賑わいの創出が期待されている。
平成23年9月には「九州大学六本松キャンパス跡地まちづくりガイドライン」も策定され、いよいよ具体的に整備計画が動き出そうとしている。
福岡市によれば、再開発の完了予定は平成32年とのこと。その頃には、六本松がさらに魅力的な街へと変貌しているはずだ。
梅光園緑道
九大跡地土地利用イメージ図
※UR 都市機構「九州大学六本松キャンパス跡地まちづくりガイドライン」より抜粋。
九州大学六本松キャンパス跡地
まちづくりコンセプト
梅光園緑道
昭和58年に廃止された国鉄筑肥線の廃線跡の一部を活用して整備された、梅光園と輝国を結ぶ全長1キロメートルほどの遊歩道。梅の並木道や広場が整備されていて、地域の人たちの憩いの場となっている六本松南エリアの人気スポット。交差道路が多いため、ランニングやサイクリングを楽しむには不向きだが、のんびりと散歩を楽しむにはうってつけの場所だ。
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