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HOME > 2019年6月号 エリア特集「平尾」

落ち着きのある住宅街として成熟した趣があり、生活施設が周辺に充実した暮らしの街となっている福岡市中央区平尾。都心に近い場所でありながら、緑が豊富なのもこのエリアの特徴で、野村望東尼が暮らした平尾山荘、歴史ある神社「平尾八幡宮(平尾天満宮)」、和風庭園が美しい「松風園」、緑深い森が広がる「南公園」「福岡市動植物園」など、心に響く四季の情緒を五感で楽しめる環境なのも、平尾エリアの大きな魅力だ。

歴史の舞台となった平尾山荘

 

幕末の女流歌人で維新の先覚者でもあった野村望東尼(のむらぼうとうに ※「もとに」とも)が住んだことで知られる平尾山荘(福岡市中央区平尾5丁目)。今では都心に近く、生活施設が充実した暮らしの街となっているが、その当時、福岡城から2キロメートルほど南下したこの山荘は平尾の人家とも離れ、山番が寝泊まりをする掘建小屋があるくらいで、庵は松の大木の間にひっそりと建てられていた。

 

野村夫妻が初めてここに草庵をつくり閉居したのは、1845(弘化2)年、望東尼40歳の秋のことだが、準備に着手したのはその6、7年前からのようだ。地味は悪かったが、山陰から湧き出る清泉があって、早天の時も涸れず、お茶の水には最適のものだった。素朴な山荘の自然をこよなく愛した望東尼は、その情緒を多くの歌に詠んでいる。

 

〽山松の木の間の月を眺むれば

     まさに我が身は世をのがれけり

 

和歌の師・大隈言道も山荘には度々訪れ、歌友たちが集って風流な歌会も催された。この時の平尾山荘は幕末の福岡に花開いた文化サロンのようだったのかもしれない。

 

夫・貞貫に先立たれると得度剃髪し受戒、招月望東禅尼(俗名はモト)となった。この時54歳。この戒名をもって現在、野村望東尼と呼ばれている。そして、望東尼の宿願であり、運命を変えることになる上京をするのが、56歳の時だ。

 

上京によって望東尼は愛国の精神の自覚を強めた。夫と別れるまでは良妻賢母として、女流歌人としての生活だったが、京都の地を踏み、御所を拝観し、京都に集まる諸国の志士の様子などを見聞。1858(安政5)年の大獄後、天下の形勢が刻々に移り行く様を見て、多感な望東尼は心を動かさずにはいられなかったのだろう。この頃から、「まさに我が身は世をのがれけり」と詠った平尾山荘は、風流韻事の場所ではなく、志士が国事を議する秘密の集会所となっていった。

 

京都で知り合った福岡藩御用達の馬場文英とは手紙で情報を交換し合い、彼から届いた京都の情勢を綴った密書はただちに志士たちに回覧された。こうして歴史のいち舞台となっていった平尾山荘で、望東尼は親子ほども年の離れた若者たちと和歌を詠むことで心を通わせたという。

 

長州の高杉晋作が、福岡に亡命してきたのは、1864(元冶元)年11月のこと。晋作は長州藩の内部抗争の末、藩の実権を握った反対勢力である俗論党から身を守るため、福岡藩志・中村円太らの計らいで、平尾山荘に潜伏することとなる。長州藩内の事態の推移を黙ってみていることができず、再挙を図るため危険を覚悟して、10日間余りで藩に戻ったが、その時、望東尼は晋作のために着物を縫って与えている。

 

長州に戻った晋作から御礼の手紙が望東尼のもとへ届けられるとそこには、常に死を賭して行動しているので、もはやこの世で会うことはないであろうが、来世でお礼をしたいと書かれていた。しかし、その2年後には、遠島を命じられ姫島の獄中にあった望東尼を救出するという形で、晋作は望東尼への恩返しを果たすことになる。

 

望東尼は、晋作が待つ下関に連れて行かれ、そこで2年ぶりに再会するが、晋作の体はすでに結核に侵されており、彼女はその死を看取っている。死の床で「おもしろきこともなき世をおもしろく」と晋作が詠み、力尽きると、望東尼が「すみなすものは心なりけり」と受けたといわれている。

 

平尾はその後、この環境に思いを寄せる人々が居を構え、落ち着きのある住宅街となった。戦時中に福岡市内で唯一創設された平尾小学校(旧平尾国民学校)をはじめ、幼稚園から高校まで併設された福岡雙葉学園、上智福岡中学高等学校、福岡中央高校といった教育施設から、スーパー、病院、銀行など生活施設が周辺に充実した暮らしの街となっている。

 

また、都心に近い場所でありながら、緑が豊富なのもこのエリアの特徴で、住宅地としての人気が高く、現在も複数の新築分譲マンションが分譲中だ。

 

 

 

 

「平尾八幡宮」と菅原道眞ゆかりの「平尾天満宮」

 

 

平尾4丁目の丘にある平尾八幡宮。始めは旧平尾村の南へ約550メートルほど旧高宮村に寄った場所に創建され、その古宮の地は、仲哀天皇と神功皇后が熊襲平定・三韓遠征のため船で瀬戸内海を航行して九州に入り、那の大津に上陸して小憩した地だという。また、天正の九州遠征の折、豊臣秀吉も仲哀天皇と神功皇后の吉例にならいこの道を通ったと伝えられ、いつの時代からか社祠を建て崇め祀るようになったという。

 

本殿の横には平尾天満宮もある。大宰府権帥として左遷された菅原道真が、博多袖湊に入港し、博多の街は如何なるものかと高い丘より眺めたのが、平尾天満宮の場所だという。そして、丘の上にあった石(祠の横にレプリカがある)に腰かけて博多の街をつくづく眺め、京での右大臣として華やかな日を追想し、今は冤罪に問われる身となり哀れな我姿を顧みたと言い伝えられており、平尾天満宮の別名は容見(すがたみ)天神だ。

 

由緒によると、平尾天満宮は、鎌倉時代には住吉宮、櫛田宮、筥崎宮と肩を並べるほどの神社だったようで、平尾八幡宮は江戸時代初期にこの地に遷座し、天保年間に本殿が造営されたという。

 

容見天神といえば、「天神」の地名の由来としてよく知られている福岡市中央区天神1丁目の水鏡天満宮(水鏡天神・容見天神)の「四十川(現在の薬院新川)の水面に映る自身のやつれた姿をみて嘆き悲しんだ」というエピソードが思い浮かぶ人も多いと思うが、それとは違った容見が伝えられている点がおもしろい。

 

ちなみに平尾という地名の歴史は古く、平安時代に平清盛が博多津に日本初の人工港「袖の湊」を開いた当時の図絵を見ても、その名が記されているほどだ。地名の由来は、今から800年ほど前まで福岡市街地のほとんどが海で覆われており、「平たい尾」を豪快に翻すクジラの姿が入江に多く見られたこととされている。

 

 

和風庭園が美しい「松風園」

 

 

平尾3丁目の閑静な住宅街にある「松風園」は、2007年に開園したお茶室のある新しい公園で、平尾に残る貴重な緑地を保全し、一般に利用(入園料:大人100円、小人50円)できるようにしたものだ。

 

中洲にあった玉屋百貨店の創業に関わった故田中丸善八氏の旧宅の一部を整備して造られた日本庭園で、既存の茶室「松風庵」と桂離宮の卍字亭を模した「あずまや」は修復され、庭園、茶室、正門などは新しく建設されている。樹齢100年を超えるイロハモミジの木をはじめ、腰掛け待合い、つくばい、石灯籠などを配し、野点(のだて)広場、露地などを備えた趣のある日本庭園で、園内の緑は素晴らしく、四季折々にわたって楽しめる。園の入り口横にはエレベーターも設置され、バリアフリーになっており、庭園を眺めながらお抹茶(有料)を楽しむこともできる。

 

 

緑深い森が広がる「南公園」「福岡市動植物園」

 

南公園にある福岡市動植物園は、動物園と植物園が一体となった施設で、閑静な住宅街にあり、アクセスの良さから、市民や旅行者の憩いの場として親しまれている。

 

「飼育動物と来園者にやさしい動植物園」を目指して2006年より20年計画で大規模リニューアルが進行中で、北海道の旭山動物園などの行動展示を参考に2013年に完成した「アジア熱帯の渓谷エリア」では動物本来の生態や行動を観察できるようになっている。昨年10月には動物園の新しいエントランス施設が完成。最新のデジタル技術を用いた体験型施設「動物情報館」が新たにできたほか、飲食施設や物販施設もリニューアルした。

 

エントランス階段下にはゾウの頭が特徴的な門があるが、この門は1933(昭和8)年に開園し、太平洋戦争中の1944(昭和19)年5月に戦争の影響で閉園となった、福岡で初めての市立動植物園(旧福岡市立動植物園)の正門のレプリカだ(実物は福岡市東区馬出1丁目の馬出小学校に現存)。

 

入園料は大人600円、高校生300円、中学生以下は無料で、新設された飲食施設と物販施設は無料エリアに配置されているため、入園者以外の利用も可能だ。

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