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HOME > 2017年4月号 エリア特集「多賀」

西鉄高宮駅西側の丘陵部にある「多賀」。閑静な住宅街を形成しており、丘陵地ならではの見晴らしの良さと緑豊かな住環境が魅力だが、この地区の緑は住民の結束によって守られてきたものだという。

大正期に住民主体で開発

 

福岡市南区多賀は、元々筑紫郡八幡村大字野添および畠田の一地区だったが、大正期に住民主体の開発で道路などが整備され住宅街になったことで、1926(大正15)年4月に「多賀」と改称されたと、南区多賀一丁目19番地にある記念碑(右写真)に書かれている。当時は和洋折衷の文化住宅が並ぶ光景から、「文化村」と呼ばれていたという。

 

現在の多賀は、閑静な住宅街を形成しており、丘陵地ならではの見晴らしの良さが魅力だが、その一方で坂道や狭隘道路が多いことで路線バスの乗り入れがない状況が続いていた。

 

しかし、地域の自治協議会と西日本鉄道が検討を進めてきた結果、2012年5月からは、南区の長丘・大池・多賀地区を循環するマイクロバスが試験運行を開始、2014年6月から本格運行へと移行している。この「長丘高宮循環バス」の新設は、近年増えてきている地域と交通事業者が協力して新たな公共交通の確保に取り組んだ一例といえるものだ。

 

 

多賀北緑地

 

鴻巣山から連続する緑を後背にした豊かな緑も多賀の魅力だが、この地区の緑は住民の結束によって守られてきた。

 

高宮通りから丘陵部へと進み、高宮南緑地を過ぎて、少し登った丘陵の中腹、分水嶺の高台に「多賀北緑地」がある。保全された隣地の屋敷林と連なって豊かな緑を形成するこの公園内には、大きなシイの木があり、福岡の中心地を一望できて、鳥の声が聞こえる地域住民の憩いの場となっている。

 

この絶景の高台にある樹木をほとんど伐採し、地上5階・地下1階のマンションを建設する計画が持ち上がったのは1993年夏のことだ。

 

「緑をつぶすなんてとんでもない」

 

住民主体で開発され、かつては「文化村」と呼ばれ、住民の一人ひとりが何世代もかけ、宅地に木を植え育ててきた緑豊かな住宅街だ。「多賀・高宮の緑と環境を守る会」がつくられ、町内あげてのマンション建設反対運動が始まった。

 

署名や建設業者との交渉、福岡市への要請・陳情、市議会への協力要請と議会請願など住民運動を続けた結果、1994年4月に市議会が補正予算でマンション建設予定地の買収を決定し、緑は守られた。その後もこの地域では、いくつものマンション建設計画があったが、その度に住民運動が起こって計画は中止になり、その動きは行政が一定区画の地権者の合意を踏まえて、そこに建物高さ制限などを定める地区計画の制定へと発展している。

 

2006年に福岡市が決定した「多賀一丁目・高宮五丁目地区地区計画」では、まず約1ヘクタールの区域で地権者全員の合意を得て、地区計画が施行された。建築物の高さの最高限度を10メートル、建築物の階数は3以下、建物の形態・色彩は周辺環境に調和させ、垣・さくは緑豊かな街並みに配慮したものにするというもので、2009年には区域が約5.3ヘクタールに変更されている。

 

この住民運動は、福岡市内各地の緑を守る運動につながっていったという。また、多賀北緑地にソメイヨシノ(右写真)が植えられているが、緑地を守った記念に植えられたものだそうで、この木もまた今では立派に育っている。

 

 

高宮浄水場

 

丘陵部の上にある高宮浄水場は、1960(昭和35)年、福岡市の中央部に給水する施設として建設され、その後、拡張工事を重ねて、今では1日最大19万9千トンの施設能力を持つ主要な浄水場となっている。

 

福岡市で最も古い浄水場で、北側には高宮遊歩道もあり、元日には初日の出、春は花見、夏は夕涼みに花火見物、秋は月見と地域住民に愛されている。

 

福岡市水道局は、このほど2017年度から2028年度までの12年間を期間とする「福岡市水道長期ビジョン2028」を策定したが、主な施策として浄水場の再編や市内各所の配水管の更新、耐震化などを盛り込んでいる。

 

計画では、高宮浄水場の老朽化を契機に、2030年度までを事業期間として、高宮浄水場の浄水機能を乙金浄水場に統合。高宮浄水場を新たに緊急時給水拠点機能を持つ配水場として再整備するとしている。市内中心部に緊急時給水拠点機能を持つ配水場を確保することにより、平常時の水の安定供給に加え、災害対策の強化が図られる。

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