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HOME > 掲載記事(鹿児島) > 2017年1月号 JR九州が東証一部・福証に上場

2016年10月25日、東京証券取引所に上場したJR九州は、翌26日には福証にも重複上場。東日本、西日本、東海に続くJR4社目の上場となった。完全民営化によって、毎年度の事業計画や長期借り入れなどで国の認可が不要になり、経営の自由度が格段に増す一方で、国内外の株主の存在感が大きくなる。これまで以上に合理的、効率的な経営が求められるのは間違いないが、地元・九州からはあがるのは地域貢献への期待の声だ。

完全民営化から30年

JR三島会社で初めての上場

 

2016年10月25日、JR九州の株式が東京証券取引所第1部に上場した。寄り付きから買い気配が続き、値がつかない状態が続いたが、午前9時36分についた初値は3100円。公募価格の2600円を19.2%上回った。時価総額は4960億円となり、2016年7月に上場したLINE(ライン)に次ぐ大型上場となった。

 

翌26日には、福岡証券取引所にも株式を上場、初値は1株2940円を付けた。地元の証券取引所に重複上場することで、個人投資家などに存在感を示し、地域の活性化につなげる狙いがあった。

 

「九州は鉄道事業が厳しい環境なので、上場に向けて順調な道しるべがあったわけではなく、模索の中の30年間でした。株式上場はゴールではなく、新たなスタートへの出発点だと感じています」

 

JR九州の青柳俊彦社長が上場記者会見で述べたように1987年の発足当初から、先行して上場したJR3社とは違う悩みに苦しんだ。東京の山手線のような、いわゆる「ドル箱路線」がなく、在来線のほとんどが赤字路線だったからだ。

 

 

上場実現を支えたのは鉄道にまつわる事業

 

株式上場は順調な走り出しといえそうだが、その「快走」を演出したのは、成長のけん引役となった不動産事業への期待感だった。

 

JR九州の2016年3月期の決算で、売り上げにあたる営業収益は過去最高の3779億円に上った。このうち6割が不動産事業や駅ビル事業などの鉄道運輸収入以外の関連事業によるもので、JR九州は約30年をかけて従来の「鉄道会社」のビジネスモデルを超えた「総合的なまちづくり企業」へと姿を変えてきた。

 

きっかけは1987年の国鉄分割民営化だった。国鉄からJRになった時には、社員が1万5千人いたが、鉄道事業は1万2千人程、その他3千人は他の事業に取り組むことになった。とにかく色んなことにチャレンジして、様々な経験を積み、今のマンション事業や駅ビル事業、外食産業、ホテル事業などに結びつき、主力な事業となっている。

 

青柳社長は以前のインタビュー(弊社発行:東経ビジネス2015年春号)で、「非鉄道事業を30年やってみて感じるのは、やはり我々には鉄道に関連する事業が向いていたということです」と語っていた。駅ビルやマンションは、鉄道と相互に影響しあうもの。鉄道が良くなればマンションや駅ビルの売上げが上がり、駅ビルがよくなったり、沿線に住宅が増えれば、鉄道の利用者も増えてくる。そういった意味で相乗効果を出せる事業が得意であり、今後も力を入れていく意向なのだという。

 

 

地域の魅力を増すことが鉄道利用者増加につながる

 

一方で、「地域の足」を守り続けることにも注力してきた。JR九州は駅の自動改札化や列車のワンマン化、また、住民が増加していた都市圏に新駅をつくって乗客者数を伸ばすなど、コスト削減策と収益拡大策を地道に積み重ねてきた。その結果、鉄道部門の赤字は発足当時の280億円から115億円と半分以下にまで圧縮。

 

さらに、乗客を増やし、九州の魅力を発信する秘策として打ち出したのが、豪華観光列車「ななつ星 in 九州」の投入だった。また、九州新幹線の開通は、「九州はひとつ」という一体感を醸成するという役割も果たした。

 

しかし、JR九州は公共交通機関の担い手として、経営安定基金などの公的資金の手助けを受けてきた経緯を忘れてはならない。上場後に求めたいのは、依然として苦しい路線の維持・発展であり、これまで以上の地域への貢献だ。管内の九州新幹線と在来線21路線は2273キロに及ぶ。鉄道事業の収益改善のためには、九州新幹線への訪日外国人の誘客や旅客輸送密度が1日当たり2千人未満の7つの路線をいかに活用するかにも知恵を絞ってほしい。

 

九州の魅力を発信すること、地域の魅力をつくりだすことができる企業として、JR九州が九州の観光振興やまちづくりでこれまで以上に貢献することに期待したい。

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JR九州がローラさんで鹿児島をPR

 

JR九州では「九州新幹線で行く鹿児島の旅」の魅力を伝える公式フォトグラファーに、モデル・タレントとして活躍するローラさんを任命し、「KAGOSHIMA by ROLA」キャンペーンを展開している。

 

季節ごとにローラさんが九州新幹線に乗って鹿児島へと向かい、鹿児島観光を楽しみながらスマホ撮影、その魅力を伝えるという企画で、既に春の「霧島・鹿児島市内」、夏の「屋久島・鹿児島市内」、秋の「指宿」が紹介され、地元からも好評だという。

 

一方でJR九州はすでにコスト削減策として駅の無人化を進めており、鹿児島県内75駅のうち、45駅が無人駅となっている。路線維持の苦肉の策とはいえ、沿線にとってはまちの衰退を助長しかねない深刻な事態にある。

 

地域の魅力を発信・創出することで路線の活用が進み、鉄道事業の収益改善・路線維持につながることが地域からも求められている。

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