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HOME > 2016年12月号 博多祇園山笠を改めて知ろう

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の補助機関が福岡市の「博多祗園山笠行事」を含む18府県33件の祭りで構成する「山・鉾・屋台行事」を無形文化遺産に登録するように勧告した。ユネスコ無形文化遺産登録は今後、政府間委員会で審査されるが勧告はたいてい尊重されるので登録はほぼ確実。これを機会に、福岡を代表する祭りであり、地域の住民たちが伝統的に行ってきた町内行事である博多祗園山笠について改めて知っておきたい。※追記:2016年12月1日に無形文化遺産に登録が決定。

地域文化の多様性を示す「山・鉾・屋台行事」

 

今回、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の評価機関(各地域から選出された専門家6人とNGO6団体で構成)がユネスコ無形文化遺産(世界遺産)に登録するように勧告したのは、国指定重要無形民俗文化財である18府県33件の祭りで構成する「山・鉾・屋台行事」で、福岡県では博多祗園山笠行事(1979年国指定)と戸畑祇園大山笠行事(1980年国指定)の2件がその中に含まれている。評価機関の登録勧告が覆った例はなく2016年11月28日~12月2日にエチオピアで開催される政府間委員会で正式に登録が決まる見通しだ。

 

無形文化遺産は、文化の多様性や人類の創造性を示していると判断された芸能や祭り、社会的慣習、伝統工芸技術などが対象で、これまで世界で336件が登録されている。日本からは歌舞伎や能楽、和紙、和食など22件が登録されているが、この中には今回の「山・鉾・屋台」に含まれる2件の祭礼行事が入っており、政府間委員会で認められるとそれら2件は「山・鉾・屋台」という1件の遺産の一部として登録されるため、日本の無形遺産は1件減って21件になる。

 

「山・鉾・屋台行事」について説明すると、山や鉾などの山車(だし)を担いだりして歩く神社の祭礼のことで、地域社会の安泰や災厄防除を願い、地域の人々が一体となり執り行う山・鉾・屋台の巡行を中心とした祭礼行事のことだ。ユネスコの補助機関は33件の祭りについて、「日本の地域文化の多様性を示している」と評価。政府は、「何世紀にもわたって維持され、地域の絆を強める役割を果たしている」とその重要性を強調し、2015年3月に登録を申請していた。

 

今回、「山・鉾・屋台行事」の登録が決定すれば、日本からの無形文化遺産の登録は、2014年に「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」が認められて以来となる。

 

 

地域の住人たちが守ってきた町内行事

 

博多祗園山笠は、福岡市の博多区で毎年7月1日から7月15日にかけて開催され、参加者や福岡市民などからは「山笠」「ヤマ」と呼ばれる博多を代表する祭りだ。

 

櫛田神社(右写真)にまつられる素戔嗚尊に対して奉納される祇園祭のひとつで、正式名称は「櫛田神社祇園例大祭」。起源については諸説あるが、鎌倉時代の1241(仁治2)年に博多で疫病が流行した際、承天寺の開祖であり、当時の住職である聖一国師(円爾)が町民に担がれた木製の施餓鬼棚に乗り、水を撒きながら町を清めてまわり疫病退散を祈祷したことを発祥とするのが通説となっている。

 

博多祗園山笠といえば真っ先に思い浮かぶのが雄壮豪快な「舁き山(かきやま)」と絢爛豪華な「飾り山」の姿だが、元々その区別はなく、高さ10メートルをを超える、現在でいう飾り山サイズの山笠が博多の町を駆け抜けていた。しかし、電信架線の整備により山笠が電線を切断してしまう事故が相次ぎ、祭事存続のためにやむなく山笠の高さを低くしたことから、現在の舁き山の形が定着している。

 

祭りのクライマックスにあたる「追い山」は、櫛田神社の清道を回る「櫛田入り」のタイムと廻り止めまでの「全コース」の走破タイムを競うが、このような速さを競う形態が発生したのは1687(貞亨4)年のこと。それまでは途中で休憩したり昼食を取ったりするようなのんびりした祭だったが、些細な出来事から土居流に恨みを残した石堂流が、東長寺にて休憩を取っていた土居流の山笠を追い抜き、それに対し土居流が負けじと走ったところから、競争するようになったと言われている。

 

770年を超える歴史を刻む博多祗園山笠だが、ここまでの道のりは決して平穏なものではなかった。1872(明治5)年に封建制を打破する意図で明治政府によって「博多松囃子」と共に突然禁止になったり、その11年後に本格的に復興するも、1898(明治31)年に山笠が電線を切断する事故や締込みだけだった舁き手の出で立ちなどを理由に福岡県知事が山笠行事の中止を提議するなど、山笠存亡の危機は幾度もあった。その度に、「舁き山」と「飾り山」の分化、水法被の着用など、伝統を守りつつも時代に受け入れられるべく、地域の住民たちが知恵を絞って伝承してきた。

 

そして、最も重要なのは、地域住民がこの祭りを存続するため、また開催するための労力を惜しまず、伝統とともに、その心意気を親から子へ、子から孫へと受け継いできたという事実に他ならない。

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「戸畑祇園大山笠」(左写真)は、北九州市戸畑区の伝統行事。飛幡八幡宮、菅原神社、中原八幡宮の三社の夏祭りで、昼の幟(のぼり)山笠が夜になると提灯山笠に姿替えする。

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