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HOME > 2016年10月号SPECIAL対談「不動産×弁護士」

中小企業の代表者の平均年齢が60歳を超えた今、事業承継や相続といった問題がすぐそこにある大きな経営課題となっている企業は多い。今回は不動産の豊富なノウハウで様々な課題に最適なソリューションを提供する三菱地所リアルエステートサービス㈱の九州支店長・白戸学氏と適切な解決と手続き(リーガルサービス)を提供する天神南法律事務所の所長弁護士・田中友一郎氏にそれぞれの現場から、事業承継と相続という複雑な課題のソリューションについて語ってもらった。

事業承継・相続の対策はできるだけ早い取り組みを

 

白戸支店長(以下、白戸) 中小企業診断士でもある田中弁護士からみて、事業承継・相続の対策では、どのようなことに気をつけるべきですか。

 

田中弁護士(以下、田中) まずは事業承継についてお答えします。中堅・中小企業の経営は、経営者の個人的力量に依存しており、後継者の育成には時間がかかりますし、後継者の候補が経営者の親族内にいない場合も多く、親族外への承継も考えていく必要があります。なんとなく必要なのは分かっていても先延ばしにしがちな事業承継対策ですが、専門家のサポートを得て、できるだけ早く対策をすることが重要です。

 

白戸 事業承継は企業の存続のための重要な課題ですし、準備しておくことができることですから、「事業承継」が頭をよぎった時から少しずつでも対策を始めておくべきかもしれませんね。相続についてはいかがでしょうか。

 

田中 相続対策についても同じです。相続は自身が亡くなってから起きるものなので、自分自身で対策することはできないと考えがちですが、生前にできる対策は数多くあります。残された家族が遺産をめぐって争うことのないように、また、相続税の納税資金に困ることのないように、元気なうちに相続の生前対策について考えておくべきです。

 

白戸 事業承継・相続におけるトラブルでは、具体的にどのようなものが多いのでしょうか。

 

田中 単純に後継者がおらず事業承継ができない、事業承継の準備をしないまま経営者の判断能力が低下してしまうといったことがあります。最悪の場合、廃業となってしまうこともありますが、これらは事業承継対策を早くからしておけば、回避できたケースです。

 

白戸 早めに後継者を見つけていれば、退職金をもらって引退することもできたでしょうし、M&Aを検討することによって、円滑な事業承継が可能だったケースですね。事業承継は、企業の経営者の一族にとっては、相続の問題となりますね。

 

田中 相続予定者の中に意思疎通が図れない人物が存在していたにもかかわらず、遺言書を作成していなかったために後継者に事業用資産の集中ができなかったということがあります。これは十分な生前贈与や遺言の作成をしていれば回避できたケースです。

 

白戸 できるだけ早いうちに取り組むべきというのはわかりますが、事業承継や相続の対策を十分にするには、どれくらいの期間が必要ですか。

 

田中 事業承継を計画的に行うためには、事前の準備が必要で、付け焼き刃の対策では十分に功を奏するとはいえません。円滑な承継を目指すのであれば3年ほど、後継者がいない場合であれば10年スパンで考えなければいけないこともあります。相続に関しても十分余裕をもった対策が必要です。

 

事業承継の3つの方法のメリットとデメリット

 

白戸 事業承継のサポートで田中弁護士がまず最初に取り組むことは何でしょうか。

 

田中 事業承継の方法としては、大きく分けて、(1)親族内承継、(2)従業員等への承継、(3)社外への承継(M&A)があります。まずは、どの方法が最適か見極めるために会社の現状を把握することが必要です。具体的には、「会社の資産・負債の状況」「経営者自身の資産・負債の状況」「後継者候補の状況」「相続の際に予想される問題点はなにか」などです。

 

白戸 経営者自身が財産状況をしっかりと把握していないことも多いですし、個別の事情もありますから、それらをよく加味しながら、事業承継をサポートする必要がありますね。3つの事業承継の方法にはそれぞれメリットとデメリットがあると思いますが。

 

田中 (1)親族内承継では、内外の関係者から心情的に受け入れられやすいこと、後継者教育等のための長期の準備期間を確保できること、相続等により財産や株式を後継者へスムーズに集中させられることがメリットです。デメリットは、後継者にふさわしい素質と意欲をもつものがいるとは限らない、相続人が複数の場合、後継者の決定、経営権の集中が難しいということです。(2)従業員等への承継では、広く候補者を求められること、社内でこれまで長期にわたって事業に携わっているので経営の一体性を維持しやすいことがメリットです。デメリットは、後継者にふさわしい人材がいるとは限らないこと、後継者に株式取得のための資力がない場合が多いこと、個人債務保証の引き継ぎの問題などです。(3)社外への承継(M&A)では、後継者にふさわしい相手を広く外部に求めることができること、現経営者が会社売却の利益を獲得し、安心して引退できることがメリットです。デメリットは、希望の条件(価額、従業員の雇用)を満たす買い手を見つけられるとは限らないこと、経営の一体性を維持することが困難な場合が多いことです。

 

経営者の財産の大部分は「自社株式」と「不動産」

 

白戸 後継者の選定・育成はもちろん、株式のスムーズな移転、企業不動産戦略などが事業承継の大きな鍵になると思いますが。

 

田中 経営者の財産の大部分は自社株式と不動産等で占められていることが多く、この二つの大切な資産の承継を慎重に準備しておかないと、多額の納税義務が生じたり、親族間の相続争いが起こったりすることで、企業経営にも大きな影響を与えることになります。

 

白戸 事業承継における自社株対策は、経営者から後継者などに自社株を円滑に譲渡するために講じる施策になると思いますが、その際のポイントとは。

 

田中 自社株の評価額をいかにして引き下げるかです。自社株の評価額が高ければ、後継者などに自社株を譲渡する際に売却額が高額になります。また、贈与や相続などによって後継者に自社株を移転する際も、贈与税や相続税の金額が高くなります。自社株を円滑に後継者などの手に渡すためには、自社株の評価額を引き下げて、購入費用や税負担などをできるだけ少なくすることが大切です。非上場株式では、事業内容が類似している上場会社の株価を参考にして評価額を求める類似業種比準価額方式や1株当たり純資産価額によって評価する純資産価額方式による株式評価額の引き下げなどです。

 

白戸 不動産は資産価格が大きく、株式評価への影響も大きいため、非上場のオーナー企業においては事業承継対策で、自社株式の評価を下げる戦略におおいに活用できます。

 

田中 「類似業種比準価額方式」で評価される会社は、含み損がある不動産の売却が有効な株価対策になり、「純資産価額方式」で評価される会社は、賃貸不動産の取得が効果的です。

 

白戸 自社株式の評価額の算出などは特に専門家のアドバイスがあることで、大きく変わるところですね。

 

田中 そうですね。資産保有会社(持株会社)を利用した事業承継・相続対策なども検討すれば、会社の業績が上がった場合に株価の値上がりを抑えたり、条件を満たせば株式評価額が類似業種比準価額となるため、評価額を大きく引き下げることができます。また、中小企業が事業承継をスムーズに行うための特例や制度も利用するべきですね。

 

白戸 事業承継をスムーズに行うための特例や制度とは。

 

田中 事業後継者の相続人のみが申し立てることができ、相続人全員の合意で遺留分の算定の基礎となる財産から、自社株や事業用財産を外して計算することができる「除外合意」や、自社株式の価額を合意時の時価に固定して、その後、価額が上昇しても遺留分の額に影響しない「固定合意」ができる『遺留分に関する民法の特例』、自社株式の相続税・贈与税の納税が猶予される『事業承継の際の相続税・贈与税 の納税猶予制度』などです。これらの特例や制度がつくられてしばらく経ちますが、思ったよりも使われていないのは事前に専門家に相談し、対策をしているところが少ないことも原因の一つではないでしょうか。

 

個別コンサルティングを通じたソリューションの提供

 

田中 三菱地所リアルエステートサービスさんでは、不動産を活用した事業承継・相続のサポートでどのような取り組みをされていますか。

 

白戸 弁護士さん、税理士さんをはじめとする専門家が持つ法務・税務などの豊富な知見と、私たちが持つ不動産に関わるノウハウを融合したタスクフォースを結成し、現状の分析から課題を抽出、さらに解決方法の提案まで、円滑な解決をワンストップで提供しています。

 

田中 相続では、生前の対策と相続発生後の問題解決とありますが、お客さまのご相談の背景をふまえたうえで多種多様なソリューションの中から最適なご提案が必要ですね。

 

白戸 事業承継や相続は多くの場合、予告なく誰にでも起こり得る出来事であり、複雑で難しい問題です。だからこそ、その際にはプロの知見が必要となります。私たちは、お客さまごとに異なる状況に対し、まずはしっかりとご要望をお伺いします。そのうえで、専門家と連携しながら、現状分析と課題の抽出、解決方法の企画から実行に至るまで、きめ細やかなコンサルティングサポートをしています。

 

田中 相続・事業承継における不動産を活用したソリューションとはどのようなものでしょうか。

 

白戸 「納税を目的とした相続物件の売却」「税務対策を目的とした投資物件のご購入」「税務対策としての土地活用と賃貸事業」「共有名義の解消」「法人設立を通じた相続税対策」「自社株式のスムーズな承継」などです。

 

田中 例えば、相続物件の適正な価値を把握し、売却するには不動産のプロの持つノウハウが必要です。全国にネットワークを持つ三菱地所リアルエステートサービスさんが蓄積しているデータやノウハウは魅力ですね。

 

白戸 弊社では、数多くの経験を積んだ専任の担当者が売却物件を調査し、複数の査定方法で物件の個別要因を加味した不動産の価値を算出する不動産査定を無料にて行っています。また、相続対策においては、相続税評価額を考慮した投資用不動産の購入や組み換えのアドバイス、将来の相続に備えての細やかなマーケット調査に基づいた税務対策としての土地活用と賃貸事業のシミュレーションといったサポートをしています。

 

安心して資産を承継するには不動産の活用が必須

 

田中 事業承継や相続で不動産の活用が大きなポイントになることは間違いありません。また同時に、企業不動産戦略は企業経営の力になるもので、事業承継や相続の問題解決だけでなく、積極的に不動産を活用することが大切だと思います。三菱地所リアルエステートサービスさんでは、クラウドを利用した企業不動産の管理ツール「CRE@M(クリーム)」をご提供していますね。これはCRE(企業不動産)データ統合管理システムだそうですが。

 

白戸 近年の「クラウド経営」を象徴するようなサービスといえるもので、これまで内部に蓄えること自体が価値とされた情報を、積極的にクラウド化して関係者が共有することでプロジェクトの情報管理コストを抑え、メンバーは戦略立案などのよりコアなビジネスに専念することができます。当社では、これらシステムとコンサルティングのご提供を通じて、企業のCRE戦略の構築から実行までをトータルで支援しています。

 

田中 不動産情報をクラウドで効率的に管理し、タイムリーな戦略立案と実行をサポートする画期的なシステムツールですね。

 

白戸 ありがとうございます。重要な企業資産である不動産の有効活用を通じて、企業価値の向上のお手伝いをしていきたいと思います。

 

田中 中小企業の代表者の平均年齢は60歳を超えていて、特に70代以上の構成比が上昇していますし、その約3分の2が後継者がいないという状況にあります。企業価値を向上するための早めの事業承継や企業経営の重要な課題である事業承継・相続の対策をプロの知恵と知識によってサポートすることが我々の役目ですね。

 

白戸 事業承継や相続が難しい問題だからこそ、客さまの背景をふまえたうえで、全体把握と精査を行い、お客さまに寄り添ったコンサルティングと課題解決に直結するソリューションを提供してまいります。

 

 

 

 

■三菱地所リアルエステートサービス(株) 九州支店

 

国内外を網羅する強固なネットワークを活かした三菱地所グループのトータルなサポート力を結集し、お客さまの将来のビジョンを見据えた価値ある不動産コンサルティングサービスを提供している。

 

〒810-0001 福岡市中央区天神1-7-11 イムズ10階

営業時間 9:30〜18:00 定休日 土日祝日、イムズ休館

〈お問い合わせ先〉

TEL 0120-320-525

FAX 092-731-8189

〈ホームページ〉

http://www.mecyes.co.jp/

 

 

 

■天神南法律事務所

 

一般民事事件をはじめ、交通事故、労働問題、相続問題、債務整理、企業法務、刑事事件など、幅広い分野を取り扱う。近年は、中小企業診断士・経営革新等支援機関として、中小企業の経営相談・事業再生・事業承継等にも力を入れている。

 

〒810-0004 福岡市中央区渡辺通5-23-8

サンライトビル4階 営業時間 平日9:00〜18:00

※事前の相談により、営業時間外での相談にも対応

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