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HOME > 大人のこだわり > 2015年6月号 クールジャパンの象徴「RS-1」

[Long Slow Distance福岡天神]

直径40ミリのプラチナ・ケースに、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)をイメージした龍の彫金が文字盤から裏蓋へと続いている超立体造形スケルトン・ウォッチ「RS-1」。このモデルを手がけたのは、グランドセイコーが製造されていることで有名な「雫石高級時計工房」の時計師・桜田守氏と彫金師・照井清氏のふたりの名工です。スイス時計に比肩しうる高度な技術を持つ日本の匠が、持てる力量を遺憾なく発揮して生み出した「RS-1」は、日本のみならず世界の時計の歴史を変えてしまうほどの衝撃に満ちています。

日本最高峰の技術の結晶

 

日本発信の機械式時計のコレクション「テルイ&サクラダ 雫石」の第一弾モデルとなる「RS-1」の構想は2010年3月にスタートしました。その1年後には東日本大震災に見舞われ、このプロジェクトを手がけた岩手県中部に位置する雫石町にある「雫石高級時計工房」もまた大きな被害を受けたことで、一旦は先行きが不透明となった経緯があります。しかし、「今まで手がけたことがないものをつくる」というこのプロジェクトは復興への勇気づけになったといいます。

 

雫石高級時計工房は、我が国で唯一の高級機械式時計の一貫生産工場(マニュファクチュール)です。盛岡セイコーにおける時計部品製造ラインを背景に、2006年に岩手県が創設した「いわて機械時計士技能評価」制度の認定する時計技能士、および盛岡セイコー社内で2003年に始まった「マイスター顕彰制度」が認める熟練時計師らによって国内唯一にして世界最高レベルの高精度・高品質で純粋な機械式時計の製造が行われている工房です。

 

そして、この工房において頂点モデルの製作を担当するのが、「RS-1」を手がけた時計師の桜田守氏、そして彫金師の照井清氏です。おふたりは「現代の名工」に選ばれ、黄綬褒章を受章した熟練職人で、「RS-1」は日本最高峰の技術が結晶した腕時計なのです。

 

「これぞ日本」

 

最初の試作品が作られたのは2012年。震災復興をテーマとして、「これぞ日本」という作品を生むべく、試行錯誤を繰り返し、『古事記』や『日本書紀』に登場する八岐大蛇をモチーフにデザインされました。

 

特徴は、エレガンスを極めた極薄ムーブメントに施された立体的にして流麗なエングレービング(彫金)です。文字盤から突出した猛々しい龍は文字盤側から裏側に突き抜け、鱗まで精密に彫り込まれた尾も圧倒的な立体感で表現されたものになりました。

 

(左)彫金師・照井 清 (右)時計師・桜田 守

 

 

彫金モデルの限界を凌駕する超立体造形

 

この超立体造形は彫金モデルの限界を凌駕する試みでもありました。そして、これを実現するには桜田氏と照井氏のふたりのマイスターが持てる力量を遺憾なく発揮する必要がありました。

 

なにしろ地板やブリッジの厚さは、わずか0・25~0・6ミリと、不用意に刃を立てると変形するだけでなく、刃が裏側に突き抜けてしまうほどなのです。照井氏はこれを防ぐため、工作機械に使う超硬素材でバイトを製作し、刃先を鈍角にして浅く彫っても模様がはっきりと出るよう心がけたといいます。

 

「これまでも何らかのモチーフをムーブメントに乗せたモデルはありましたが、この作品では、さらなる『超立体』を目指しました。その意味では、やりたいものをやらせていただいたという充足感はあります」(照井氏)

 

一方、組み立てを担当する桜田氏にも同様の苦悩がありました。地板やブリッジがあまりにも薄いため、組み立て時にネジをやや強く締め込んだだけで変形し、テンプが止まってしまうほどでした。ケース入れの際もネジ込みの負荷がかかると歪み、ブリッジを上からちょっと触っただけで止まることさえあるといいます。

 

ですから目視と感覚で100分の1の差を感じて調整をしつつ、ムーブメントをひとつ組むのにおよそ3時間半。外装の組み付けでも3時間はかかるのだそうです。

 

「立体的な彫金のため、どうしても針と大蛇のクリアランスがシビア。そこで針のアップ&ダウンを厳密に調整する必要がありました。ただ、苦労しただけあって完成した作品を見て、自分でも『これはいいなぁ』と思いましたね」(桜田氏)

 

クールジャパンの象徴

 

モデル名の「RS-1」はライジングサンを意味し、「日出国=日本」を表しています。文字盤を見ると、彫金の周囲は放射状のカッティングを入れたマザー・オブ・パールのリングで縁どられ、日の出がイメージされています。世界に誇る日本の匠が持てる技術を惜しみなく注いだ超立体造形スケルトン・ウォッチは、限界を超えた繊細さやデザインはもちろん、震災復興への想いが詰まった「これぞ日本」を世界に発信できるクールジャパンの象徴ともいえるものです。

 

取材の折、時計の中で動き出しそうな龍の立体感や肉眼では捉えられられないほどの精密な造形に目を凝らしていると時が経つのを忘れてしまうほどでした。そして、この時計が生まれるまでのストーリーが、特別な時計であることを実感させてくれました。

 

「RS-1」には、まさに一見の価値があります。6月30日までの期間中、福岡市中央区大名の「ロングスロウディスタンス福岡天神」にて実際に手に取ってご覧になれるので、是非、その目で日本最高峰の技術の結晶をお確かめください。

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超立体スケルトンを生んだふたりのマイスター

 

彫金師・照井 清

1955年生まれ。1970年、セイコーインスツル入社。1974年、貴金属ケースの製造を担当。1984年、クレドールの宝飾時計の製作を担当。2002年、厚生労働省より「現代の名工」受賞。1996年、「クレドール・スケルトン」で彫金を担当。2007年秋、黄綬褒章を受賞。和をモチーフとする彫金技術で独自の世界を構築。

(左写真)照井氏は極薄ムーブメントを変形させない高度な彫金技法を独自に編み出しました。

 

時計師・桜田 守

1950年生まれ。1965年、セイコーインスツル入社。1972年、組立技能研修所に配属され機械式時計の組み立て技能と理論を習得。1990年、卓越した技能を見込まれて高級機械式時計の組立・調整を担当。2000年、労働省(当時)より卓越技能者「現代の名工」受賞。2005年春、黄綬褒章を受賞、極薄型組み立ての第一人者。

(左写真)ムーブメント組み立てを行う桜田氏。機械式時計の黄金時代を知る最後の世代です。

 

「RS-1」の裏蓋には、このモデルを手がけるふたりのマイスター、桜井守氏と照井清氏の名前がくっきりと刻まれています。

 

 

 

【Terui & Sakurada Shizukuishi RS-1】

ケース径:40.0㎜

ケース素材:Pt950

防水性:日常生活用

ストラップ:クロコダイル(Pt950バックル装備)

ムーブメント:NB99(手巻き、26石、パワーリザーブ37時間、時分針)

仕様:極薄型、シースルーバック、Pt950製リューズにダイヤモンド埋め込み、世界限定8本

価格:¥11,000,000+TAX

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