●貝原益軒が絶賛した眺望

　市道・桜坂─小笹線のうち、地下鉄桜坂駅から動物園西門交差点までの約１㎞には、「桜坂山の手通り」の愛称がつけられている。その通りの最高所にある無料展望所が南公園西展望台（輝国１丁目）だ。

　場所は、「福岡山の上ホテル」のすぐ近く。訪ねる時には、ホテル入り口の看板を目印にするとわかりやすい。西の糸島方面から、北の百道浜、天神方面にかけて、とても良く見える。

　南公園一帯の丘陵地は江戸時代には、大休山（おおやすみやま）と呼ばれていた。那珂郡や早良郡から福岡城下に入るための峠道があり、山の途中、人々が荷物を降ろし、弁当でも広げて大休みをしたことから、その名が付けられたのだろう。

　その大休山からの眺望を江戸時代の本草学者・儒学者の貝原益軒は『筑前国続風土記』の中で、「東西北三方を眺望するに眼界広く山水の景甚だうるわし」「天下に名高き須磨、明石、和歌浦、天橋立、厳島、諸所の佳景といえども、おそらくはこれにすぐべからず」と絶賛している。

　現代でも東に宝満山、北に海の中道、西に能古島や糸島、南に油山や背振山と、３６０度に広がる景色を見渡すと、まさに絶景とも感じる。しかし、貝原益軒が見た景色とは随分と趣も変わったであろう今の景色を天橋立や厳島と比較するのはやめた方がよさそうだ。

　ただ、江戸時代にはなかったであろう福岡市の夜景の鑑賞スポットとしては素晴らしいものがある。平成４年にできた立派な展望台から見る夕暮れから夜にかけての景色と夜景は絶景といって間違いないだろう。

　南公園西展望台への目印として紹介した、１９６７年創業の福岡市内で最も長い歴史を有する「福岡山の上ホテル」も、この景色が楽しめることを最大の魅力としている。２０１３年９月１日には、「アゴーラ福岡山の上ホテル＆スパ」としてリニューアルオープンし、スパ施設「ヒルトップスパ」や日本料理「こよみ」、オープンエアのガーデンテラス、ライブラリーを新設する。また同時に、ウェディング施設、宴会場、レストランやバーを兼ね備えた「THE MARCUS SQUARE」もオープンし、福岡の街を最も美しく見渡せる絶好のロケーションに加え、都市としての賑やかさと緑溢れる自然をいっそう活かした福岡の今を象徴するランドマーク施設が誕生する。