オーデマ ピゲ ─受け継がれる精神─

1875年創設の「オーデマ ピゲ」は、最高峰ブランドと謳われ、世界にその名を知られるようになった今もなお、創設者一族が経営を続ける稀有な時計メーカーだ。

創設者は、スイス時計の聖地・ジュウ渓谷で古くから時計に携わっていた名門一家出身の時計師ジュール＝ルイ・オーデマとエドワール＝オーギュスト・ピゲ。情熱にあふれた二人は、精度・大胆さ・創造性を武器に複雑な時間を表現する術を探し求めた。

1882年以降、ミニッツリピーター、永久カレンダー、スプリットセコンド・クロノグラフなどを搭載する懐中時計を製造。1889年に開催されたパリ万国博覧会に技術力のすべてを結集した複雑懐中時計「グラン コンプリカシオン」を出品すると、世界にその名が知れ渡り、1892年には、世界初のミニッツリピーター搭載腕時計を完成させる。

20世紀になり、腕時計の時代に入ってからも、腕時計サイズに小型化された革新的なムーブメントを用い、ムーンフェイズ付きフルカレンダー、ジャンピングアワー、クロノグラフなどを多数製作して、高度な技術にさらに磨きをかけた。1946年には、わずか1.64㎜という極薄の手巻きキャリバーを搭載した世界最薄の手巻きウォッチを発表する。

そして1972年、ステンレス・スティールを使った世界初のラグジュアリー・スポーツ・ウォッチ「ロイヤル オーク」コレクションが誕生する。高級時計の世界にセンセーションを巻き起こしただけではなく、その機能美は40年以上たった現在も、オーデマ ピゲのアイコン的存在であり続けている。

創業以来、オーデマ ピゲは革新的超高級腕時計を世に送り出し続けて来た。「卓越した技術と大胆な発想」を社是とし、目先の利益にとらわれない名誉を重んじる製品開発ができたのは、同族経営を続け、創業者二人の精神を頑に守ってきたからに他ならない。